よくある質問と回答

  1. よくある質問と回答
    1. 矯正の認定医や指導医とはどういうものですか?
    2. 大人の歯列矯正は危ないのですか?(週刊朝日2001年4月20日号より)
    3. 適切な治療費とはどういうものでしょうか?
    4. 矯正歯科は審美歯科に含まれるのですか?
    5. 歯並びは遺伝しますか?
    6. 子どもが、学校の歯科検診で反対咬合で、矯正のお勧めの用紙を持って帰ってきまし た。不正咬合は必ず治療しなければいけないのでしょうか?
    7. 矯正治療を開始するのに適した時期はありますか?
    8. 矯正治療により歯の寿命が縮まることはありませんか?
    9. 歯ならびを治すために、歯を抜くことがありますか?
    10. 矯正治療前に,虫歯や親知らずは治しておいた方が良いのですか?
    11. 顎関節症といわれたのですが、矯正治療は受けられますか?
    12. 子供が矯正治療を嫌がっているのですが?
    13. 矯正治療は、勉強の妨げになりますか?
    14. 口の中に装置を入れると、痛くありませんか?
    15. 口の中に装置が入っても、スポ-ツは続けられますか?
    16. 矯正治療中はむし歯になりやすいですか?
    17. 矯正治療中、むし歯ができたらどうなりますか?
    18. 矯正治療中に注意する食べ物はありますか?
    19. 矯正治療中に妊娠するかもしれないのですが?
    20. ブラケットがとれてしまいました。大丈夫でしょうか?
    21. 口の中がチクチクしますが大丈夫でしょうか?
    22. 冷たい飲み物を飲んだら,針金の力が弱くなったような気がしますが,歯は動きますか?
    23. 結婚式や海外留学のため,一時的に装置を外すことは出来ますか?
    24. 白い装置と,金属の装置は,見た目以外に違いがありますか.
    25. 歯を強くすると言われるフッ素の効果はあるのでしょうか?
    26. 歯並びによって吹奏楽器の演奏に影響がでることはありますか?
    27. 矯正治療中に吹奏楽器の演奏はできますか?
    28. どんな矯正装置が吹奏楽器の演奏に向いていますか?
    29. 歯並びが改善することで吹奏楽器が演奏しやすくなりますか?
    30. 金属アレルギーの方が矯正治療をする場合に気をつけることは?
    31. 金属アレルギー反応を起こしやすい矯正装置の材質とは?
    32. 金属アレルギー反応が起こしにくい矯正装置の材質とは?
    33. 金属アレルギー検査を受けるには?

よくある質問と回答

矯正の認定医や指導医とはどういうものですか?

歯科でも、現在様々な専門医制度ができています。矯正歯科では、日本矯正歯科学会が認定する指導医、認定医制度が平成元年より施行されました。2001年8月現在で、認定医1848名、指導医471名が登録されています。

◇認定医は
学会指定研修機関において必修の研修を含めて5年以上にわたり,相当の矯正歯科臨床経験を持っている人
学会の認めた刊行物に矯正歯科臨床に関連する報告を発表した人
等の条件を満たした上で審査に合格した歯科医に資格証が交付されます。
◇指導医は
認定医を取得した上で、さらに学術的・臨床的な経験をつんだ歯科医に資格証が交付されます。

学会認定医になると、アメリカ矯正歯科医会等のメンバーになることもできるので、世界的に認められた制度と考えられます。また、近年、日本成人矯正歯科学会も独自の認定医制度を制定し、認定を行なっています。
学位(歯学博士)や海外留学等は臨床的には参考程度にしかなりませんが、認定医や指導医は臨床歴も考慮されていますし5年ごとの更新制ですので、矯正専門医を選ぶ際の指標になると思います。


大人の歯列矯正は危ないのですか?(週刊朝日2001年4月20日号より)


記事中の“大人の矯正は百害あって一利なし”や“歯列矯正は十歳前後までが限界だと考えている”という記述は著者個人の見解であり、日本最大の矯正学会である日本矯正歯科学会のものではありません。 
また、顎関節に関しても日本顎関節学会より“矯正治療と顎関節症の因果関係は認められない。”という見解が出されています。
”好ましくない歯の移動”が一部で行われていることも事実ですが、適切な矯正治療では成人の方でも審美的・機能的に充分満足できる結果を得ることが出来ます。


適切な治療費とはどういうものでしょうか?


大学病院など、公共機関の料金設定および料金体系がひとつの目安になると思います。当院では大学病院の料金体系に準じ、さらに治療費のご負担を減らすべく努力しております。


矯正歯科は審美歯科に含まれるのですか?


”審美歯科”という言葉は,ここ10年くらいの間で急速に広まりましたが,区分としてはとても曖昧なものです.
本来は,歯を大きく削って上から白いものを被せる治療法を指しましたが,最近では”歯のホワイトニング”や”矯正治療”も含まれているようです.
一方,矯正治療を専門としている医院で”審美歯科”と名乗っている所は殆どありません.
矯正のトレーニングをつんだ先生が多いという意味で,矯正治療を受けられるのでしたら”矯正歯科”を選ばれたほうが宜しいと思います.
なお,当院では”歯のホワイトニング”は行っておりますので,お気軽に御相談ください.


歯並びは遺伝しますか?


不正咬合は,遺伝的な因子と個人的な因子が混ざって現れますので,ご両親と同じような不正咬合になるとは限りません.
しいてあげれば,身長と同じようなものとお考え下さい.ご両親とも身長が高ければ,お子様も身長が高くなることが多いですが,そうでない人も沢山いらっしゃいます.


子どもが、学校の歯科検診で反対咬合で、矯正のお勧めの用紙を持って帰ってきまし た。不正咬合は必ず治療しなければいけないのでしょうか?


最近の学校歯科検診では,虫歯をチェックするだけでなく,歯周病や歯並びについて も保護者の方にお知らせするようになりました.
成長発育期の不正咬合を放置しますと、歯以外にも口の周りの筋肉や顎関節の健全な 成長発育を妨げますし、発音や心理的にも悪影響を及ぼすことがあります。
また、この時期に放置しますと後の治療が難しくなる場合もありますので、先ずはお 近くの歯科医院に御相談に行かれることをお勧めします。
不正咬合は,治療を行わなくても命にかかわる病気ではないため、先天的なものや手 術が必要なものを除いて保険が適用されません。
そのため,治療費も高額になりがちですが、不正咬合の治療はQOL(生活の質)の向 上に欠かせないものといえるでしょう.


矯正治療を開始するのに適した時期はありますか?


不正咬合の種類によって,矯正治療を開始するのに適した時期が異なります.
顎のズレが無い場合は,12歳以降で歯周組織の状態がよければ60歳でも治療が可能です.
一方,顎のズレが大きい場合は,4歳から治療を開始するほうが好ましい場合もあります.
正確な開始時期は,十分なトレーニングを積んだ矯正専門医でないと難しいものです.
不正咬合がご心配な場合は,6~7歳位に一度御相談いただければ,手遅れということもなく,適切な開始時期をご説明できると思います.


矯正治療により歯の寿命が縮まることはありませんか?


無理な力による矯正治療は、歯の根や周囲の血管を損傷し歯の寿命を縮めることもあります。しかし、適切な矯正治療を行うことは、不正咬合を放置するのに比べて老化に伴う変化を最小にし、かえって歯を長持ちさせます。


歯ならびを治すために、歯を抜くことがありますか?


必ず抜歯が必要ということではありません.非抜歯ケース・ボーダーケース(抜歯でも非抜歯でも機能的な改善は出来るが,審美的に問題が残る場合など)・抜歯ケース(抜歯しなければ治療できない)があります.
ボーダーケースの場合は,診断時に2つ以上の治療方法を提示し,患者様に選択していただきます.
なお,抜いた所の隙間が残ることは原則としてありません.


矯正治療前に,虫歯や親知らずは治しておいた方が良いのですか?


矯正治療をお考えの場合は,少なくとも初診相談後,できれば診断後に虫歯の治療を開始されることをお勧めします.
抜歯が必要な場合は,出来る限り悪い歯を抜くように考えますので該当歯の治療は必要無いこともあります.
さらに,親知らずがあることにより矯正治療が行いやすくなることも多いため,診断後まで抜歯を遅らせるようにしましょう.
なお,腫れたりして痛い場合は,はやめに応急処置を受けるようにして下さい.


顎関節症といわれたのですが、矯正治療は受けられますか?


矯正治療は可能ですが,治療中に顎関節への負担が一時的に増すことがあり,症状が悪化する場合があります.
このような場合は,取り外しの出来る装置を併用しながら治療をすすめていくことになります.
矯正治療後は顎関節への負担は軽減され症状も軽減しますが,最近の疫学調査により顎関節症にはストレスが大きくかかわっていることが解ってきており,歯並びを直しても顎関節症は100%治るわけではないということをご承知ください.


子供が矯正治療を嫌がっているのですが?


矯正専門医院で相談の結果,顎のズレが無く凸凹の治療のみで良いという事であれば,20歳以降になっても治療可能ですので無理に勧めることはないと思います.
一方,顎のズレが指摘された場合(特に受け口の場合)は,放置すると悪化することが殆どですので,お子様が嫌がっていたとしても”虫歯の治療と同じだと考えて”治療されることをお勧めします.
また,相談の結果,矯正治療に積極的になるお子様もいます。


矯正治療は、勉強の妨げになりますか?


矯正装置に慣れるまでの期間(子供で2週間程度)は,多少勉強の妨げになるかもしれません.それ以降は,歯磨きの時間が余分にかかる程度で全く問題がありませんが,本人が不安を感じている場合で受験などの場合は一区切りつくまで待っても宜しいでしょう.
なお,上記質問「子供が矯正治療を嫌がっているのですが?」の回答にもありますように,顎のズレが指摘された場合は,早めの治療をお勧めします.


口の中に装置を入れると、痛くありませんか?


初めて装置をつけたときは、3~4日、歯が浮いたような感じがありますが、寝られないような痛みではありません。
1週間程度で慣れますが,痛みが強い場合は鎮痛薬(市販の頭痛薬)を飲むことで軽減されます.
痛みの感じ方については個人差がおおきく,当院の治療法では,成人の場合で2割程度,小児の場合はそれ以上の割合で痛みがほとんど出ないものです.


口の中に装置が入っても、スポ-ツは続けられますか?


ほとんどのスポーツは問題ありませんが、柔道や空手のように身体が当たるスポ-ツでは、口の中を装置で傷つけるおそれがあります。あらかじめ歯科医師とよく相談してください。


矯正治療中はむし歯になりやすいですか?


矯正装置を入れているので汚れがつきやすくなりますが、正しい歯磨きをしていれば十分予防できるものです。
装置装着時に説明いたしますので、教わった方法で歯みがきをしてください。歯みがきによって装置がこわれることはありません。
また、動的治療期間中の虫歯予防処置(フッ素塗布など)は基本料金に含まれております。


矯正治療中、むし歯ができたらどうなりますか?


むし歯ができてしまうと、治療途中でも装置をはずしてむし歯の治療をしなければいけません。そうすると治療期間が長びいてしまいます.ですからむし歯にならないように、教わった方法で正しくていねいにみがきましょう.


矯正治療中に注意する食べ物はありますか?


矯正中は、歯にブラケットがついているので,食べるときに少し気をつけなけ ればいけないことがあります.まず,硬いお煎餅や粘着のあるガムやお餅な どはブラケットが外れてしまうことがあるので避けるようにしましょう.
繊維質のものは装置にからまりやすいため,ほうれん草やパスタ類には注意しましょう.
また,白いセラミック装置を使用している場合には着色が気になることもあります.これはブラケットと ワイヤーをとめる役目をしているゴムが通常は透明なので、食べ物によっては着色してしまうことが原因です.
特にカレーはすぐに黄色くなります。でも「カレーを我慢するなんて辛すぎる」という方は、月に1回の調整日(調整日にはゴムを交換します)を「カレー曜日」と決めて、楽しんでみてはいかがでしょうか♪

着色しやすい食べ物
・カレー類(ドライカレー、ハヤシライス、ケチャップライス)
・トマトソース、デミグラスソース系の煮こみ料理
・トマトソース系のパスタ
・赤ワイン


矯正治療中に妊娠するかもしれないのですが?


矯正歯科治療中に妊娠されてもご心配ありません.
当院で治療中に,結婚・出産された患者さんもいますが,”始めておいてヨカッタ”とのご感想でした.
実際には,臨月までは通常どおり治療を進め,出産後2ヶ月ぐらいから治療を再開する場合が殆どです.
妊娠中の歯肉炎についても,歯磨を怠らなければご心配ありません.ただし,”つわり”がひどく歯磨きが殆ど出来ない場合は,装置を一時除去することも考えますので御相談ください.


ブラケットがとれてしまいました。大丈夫でしょうか?


痛みがなく,次回の予約まで1週間以内であれば放置しても差し支えないことが殆どです.
痛みがある場合は,ご予約のうえお早めに御来院ください.


口の中がチクチクしますが大丈夫でしょうか?


チクチクする痛みがある場合は,装置が壊れているか,歯の移動により奥から針金が出てきているかのどちらかです.
いずれにしても,ご予約のうえお早めに御来院ください.


冷たい飲み物を飲んだら,針金の力が弱くなったような気がしますが,歯は動きますか?


当院で使用している形状記憶合金で作られたワイヤーは,熱により強さが変化します.
お口のなかが温まれば,力が戻りますのでご安心下さい.


結婚式や海外留学のため,一時的に装置を外すことは出来ますか?


一時除去することは出来ますが,再装着時に本数に応じた費用がかかります..
治療期間につきましては,1ヶ月外していた分を取り戻すのに2ヶ月ほどかかるとお考え下さい.


白い装置と,金属の装置は,見た目以外に違いがありますか.


透明な装置を使用したほうが,矯正料金を高く設定できるため,最近では金属の装置の料金設定がない医院もみられます.下記の利点・欠点を参考にお決めください.
◆透明な装置の
◇欠点は
・金属の装置に比べて摩擦が大きく歯の動きが遅いため,治療期間が長くなる傾向にある.
・金属の装置と比べて,一般的に高価.
・材質によっては,歯が削れてしまうことがある.
◇利点は
・目立ちにくい
◆金属の装置の
◇欠点は
・目立つ
・金属アレルギーの場合に使えない製品が多い.
◇利点は
・透明な装置と比較して,外形が小さいものが殆どで,口の中の違和感が少ない.
・金属アレルギーに配慮した一部の製品を除き,白い装置と比べて一般的に安価.


歯を強くすると言われるフッ素の効果はあるのでしょうか?


フッ素(フッ化物)を歯に作用させると,歯の表面から取り込まれ,歯を構成する結 晶の一部になります.フッ化物を含んだ歯の結晶は普通の状態よりも丈夫になり,酸 に溶けにくい強い歯が作られていきます
また,フッ化物には、歯の脱灰(結晶の一部が抜け落ちる)した部分を元に戻そうと いう働きがあります。
生えてきたばかりの歯は虫歯になりやすいので、乳歯が生えてくる時期や永久歯の生 え変わりの時期に、歯科医院でフッ化物を塗布してもらうことは、虫歯の予防に大変 効果があります。
また、家庭でフッ化物入りの歯磨き剤やスプレーを毎日使用することでも、同様の予 防効果を得ることが出来ますが、製品の説明書をよく読み正しく使いましょう。


歯並びによって吹奏楽器の演奏に影響がでることはありますか?


プロレベルでしたら確実にあるでしょう。
極端な出っ歯や受け口はもちろんですが,管楽器は前歯がたっているほうが演奏しやすいといわれていますので,前歯の傾斜がきつい場合は不利になります。 犬歯が凸凹(八重歯)の場合,前歯はたっていることが多いので,前歯の凸凹が軽度であれば問題は少ないといわれています。
前歯の傾斜が演奏に影響しやすい楽器としては,カップ型マウスピースのトランペットやトロンボーンなどの金管楽器があげられます。 また,リードがあるクラリネットやオーボエの場合は,唇を巻き込みますので,前歯に凸凹があると唇に痛みを感じることがあるかもしれません。


矯正治療中に吹奏楽器の演奏はできますか?


演奏は可能ですが,慣れるまでは演奏しにくいと感じるでしょう。とくに演奏時の形が出来ている上級者の場合は,装置をつけることによる口唇の微妙な変化により、難しい音が出しにくくなることが考えられます。
矯正装置は,慣れるのに最低でも一ヶ月程度はかかりますので,大切なコンクールや演奏会の直前に矯正装置をつけることはお勧めできません。 慣れた後も,吹くと疲れやすい・唇に傷ができやすい・前と同じ音が出ない等の影響がのこるかもしれません。
特に歯を抜いて矯正治療をする場合は,最初のうちは歯を抜いた隙間も大きいですし,歯並びも日々変わっていきますので,上級者の方は安定した演奏が難しく感じるかもしれません。
カップ型マウスピースのトランペットやトロンボーンなどの金管楽器の場合は,マウスピースを唇に押しつけるため,矯正装置の出っ張り自体が気になったり,音域に変化が出るかもしれません。 フルートの場合は,前歯に装置がつくことにより,主に下唇が前歯の上を滑らかに動かなくなり微妙な調整がやりにくくなるかもしれません。
一方,矯正治療をはじめて半年以上たっていて装置にも慣れている方が,初めて管楽器を始める場合は不具合を感じることは少ないでしょう。


どんな矯正装置が吹奏楽器の演奏に向いていますか?


楽器演奏のことだけ考えれば,なるべく小さい装置,あるいは取り外しができる装置などが望ましいということになります。
しかし,取り外しができる装置は,歯を抜く治療には向いていませんし,細かい歯のコントロールも難しくなります。 矯正装置にカバーをつけて,唇への当たりを柔らかくする方法もありますが,歯の移動が遅くなったり,つけている時といない時の感覚の違いが気になる場合もあります。
裏側矯正の場合は,装置による唇への影響を少なくすることができますが、表側矯正に比べて舌への影響が出てきます。個人差はありますが,タンギング(舌の動きにより音を切る)などがやりにくく感じるかもしれません。
シングルリード楽器の場合,理論的には上顎に表側装置、下顎に裏側装置をつけることで演奏への影響を少なくできると考えられますが,通常の治療ではほとんど選択されない装置の組み合わせになります。
治療期間については、例えばシングルリードの楽器では、マウスピースから前歯に直接力がかかるため、上の前歯を後方に移動することが難しく、下の前歯は内側に倒れやすくなるため治療期間が延びることが考えられます。さらに、管楽器演奏中は口の中が狭くなるために矯正装置除去後のリテーナー(動かした歯を抑えておく装置)の使用が難しいため、保定期間(おさえておく期間)も長くなることが考えられます。


歯並びが改善することで吹奏楽器が演奏しやすくなりますか?


一般的には,矯正治療後(装置をはずした後)は歯並びが改善されることにより,アンブシュア(楽器を吹くときの口の形)が安定しますので、より良い演奏ができるようになりますという回答になるでしょう。
しかし,プロの演奏家レベルになると,あえて理想的な歯並びでを崩してカスタマイズすることもあるようです。 見た目は多少悪くなっても,上顎前歯間にスペースを開ける(スペースがあると、音抜けが良く楽に吹くことができるらしい)などの例を聞いたことがあります。
また,矯正治療以外でのアンブシュア改善方法として,歯を削って表面に人工物を接着したり,演奏時に凸凹の歯に一時的にカバーをつけたりする方法もあります。


金属アレルギーの方が矯正治療をする場合に気をつけることは?


アレルギーとは特定の物質に対して過剰に免疫反応を起こすことで,環境要因との関連が強いといわれています。
金属アレルギーも原因となる金属が体内に取り込まれたことにより成立するもので,ピアスなどの金属アクセサリーや口腔内の金属歯などが原因としてあげられます。 意外なものとして,カカオや大豆などの食物が原因となるともあります。
金属アレルギーが矯正治療前からわかっている場合には,金属を使用しないセラミック等の装置やアライナーを選択することも出来ますので,あとから余計な費用が発生することも少ないでしょうし,「治療をしない」という選択も考えられます。
治療途中でアレルギーがわかった場合は対応が難しく,金属を含まない装置になるべく替えるなどして治療の継続を試みます。
金属アレルギーといっても,歯肉がすこし腫れる程度で済む方もいれば,外側の頬の部分にまで発赤が生じる方もいます。 程度が軽ければ矯正治療を継続できるでしょうが,重度であれば中断せざるを得ない場合もあります。 また,金属歯や矯正装置から溶け出す金属を減らすために,酸性食品の摂取をコントロールすることも効果があるようです。


金属アレルギー反応を起こしやすい矯正装置の材質とは?


矯正歯科で用いられる金属材料には、ブラケット、ワイヤー、バンドなどがありますが,金属アレルギーの原因となりやすいニッケルやクロムを含んでいることが多いので注意が必要です。
一方,金やプラチナなどはアレルギー反応が出にくいといわれていますが、一部の方に重篤なアレルギー反応を引き起こすこともあります。
また,ある金属でアレルギー反応が出ると,他の金属でもアレルギー反応を引き起こしやすいという交差反応がありますので,チタン製の矯正用アンカースクリューを使用する場合も,ニッケルやクロムなどでアレルギー反応が出ている方は慎重に行う必要があります。


金属アレルギー反応が起こしにくい矯正装置の材質とは?


前歯につきましては,金属を全く使わないセラミック装置も一般的になっていますし,チタンの装置を選択することも出来ます。 ただし,チタンについては極まれにアレルギー反応を引き起こす場合もあります。
一方,奥歯用のセラミック装置は一般的な形状のもは未だ販売されていないと思いますので,前歯用のものを工夫して流用するか,チタンの装置を使用することになると思います。
ワイヤーについてはプラスチック製のものも出てきていますが,全ての治療に対応することが難しいため,チタンのワイヤーを使用したり,表面にコーティングを行い金属の溶出を少なくして使用することが一般的です。同様に,金属の装置にもコーティングを行うことがあります。
また,インビザラインなどのマウスピース矯正も金属アレルギー対策としては有効ですが、マウスピース矯正は歯の移動に限界があるため抜歯治療などには向いていません。


金属アレルギー検査を受けるには?


金属アレルギーが心配な方は、まず皮膚科で金属パッチテストを受けて、自分がどの金属にアレルギーを持っているのか確かめることが大切です。
ただし,矯正装置に含まれている微量金属の成分まではメーカーが明らかにしていないこともあり,テスト結果に問題がなくても,実際に装置をつけた時にアレルギーが出ないと確定できるわけではありません。
当院では,金属アレルギーの既往がある場合は,ブラケットなど今後の治療で使用予定の矯正装置を,一定期間お口の中に装着してテストを行います.
金属アレルギーの発症にはさまざまな要因がありますので,この方法でも数年間かかる治療が終わるまで発症しないと断言できるわけではありませんが,パッチテスト結果より正確であると考えています. 特に抜歯治療の場合は,歯を抜いてしまうと後戻りが出来ませんので,事前のチェックが重要になります。